これまで何度か触れたように、企業会計上では費用とされても、法人上の損金とはならないものが、いくつかあります。扱いについて注意しなければならないリース取引きや保険料などについて、説明を加えておきます。
リース取引
(1)通常の場合
リース取引は、通常リース物件を賃借していますので、その事業年度の損金の額に算入されます。
(2)購入したものとして取り扱う場合
リース期間が、リース物件の法定耐用年数の70%未満の期間で、リース契約満了後、買い取り等の規定がある場合には、 そのリース物件を購入したものとして減価償却を行います。
(3)前払費用として取り扱う場合
リース期間が、リース物件の法定耐用年数の70%未満(法定耐用年数が10年以上の場合には60%未満)の期間をリース期間とするもの(上記(2)に該当するものを除く)は、前払費用として取り扱われます。
保険料
(1)保険積立金
法人契約している養老生命保険契約のうちで、保険の被保険者が法人の役員・従業員で保険金の受取人を 法人としているものは、損金に算入されず保険積立金等の名称により資産計上されます。 ただし、特定の人のみを限定して保険契約をしている場合には、それぞれの人に対する給与・報酬として 取り扱われます。
(2)掛け捨て保険(定期保険)
掛け捨て保険とは、定期保険のように保険期間内に被保険者が死亡した場合等の保険事由が生じた場合に限り、保険金が支払われるものです。これらの掛け捨て保険について保険金の受取人が法人の場合には、損金の額に算入します。 ただし、受取人を役員・従業員などの被保険者としているときは、これらの者に対する報酬・給与として 取り扱われます。
(3)その他
保険契約については、最近いろいろな種類の商品がありその扱いも異なります。保険契約の内容を確認の上、生命保険会社・税務署などに問い合わせた方が良いでしょう。
外貨建資産等の換算方法
今回の改正で外貨建資産等の換算方法が、外貨建資産等の区分に応じて次のように改正されました。この場合、期末時換算法により換算した金額と帳簿価額との差額は、洗替方式により益金の額又は損金の額に算入されることになります。
外貨建資産等の区分 |
換算方法 |
法定換算方法 |
外貨建債権債務 |
短期外貨建債権債務 |
発生時換算法又は期末時換算法 |
期末時換算方法 |
長期外貨建債権債務 |
発生時換算法又は期末時換算法 |
発生時換算方法 |
外貨建有価証券 |
売買目的有価証券 |
期末時換算方法 |
期末時換算方法 |
売買目的外有価証券 |
償還期限及び償還金額の定めのあるもの |
発生時換算法又は期末時換算法 |
発生時換算方法 |
償還期限及び償還金額の定めのないもの |
発生時換算法 |
発生時換算法 |
外貨預金 |
短期外貨預金 |
発生時換算法又は期末時換算法 |
期末時換算方法 |
長期外貨預金 |
発生時換算法又は期末時換算法 |
発生時換算方法 |
外国通貨 |
期末時換算法 |
期末時換算法 |
本書の対象となる決算月(一年決算の場合)
この「税務申告」の内容は平成13年3月〜平成14年2月が決算月となる法人を対象としています。税制に関する法令等は改正されることが多いため、必ず対象となる決算月を確認してください。
なお文書内容は平成12年9月現在の税法等に基づいて作成されています。