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特別償却等

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今まで見てきた減価償却は「法人税法」によるものでしたが、この他に時限立法である「租税特別措置法」に基づく特別償却等があります。 この特別償却等は、その時々の経済状況を踏まえた諸種の政策的要素から設けられているものです。
また、政策的見地から30種類以上の特別償却等が設けられており、それぞれに細かく適用規定が定められています。これらのものは、適用される期間・対象資産が決められている為、一度税務署等に確認してください。

特別償却等の区分

特別償却等は、その償却限度額の計算方法から次の2つに区分できます。

(1)特別償却

特別償却は、対象となった固定資産の取得価額を基礎に次のように計算されます。
特別償却費 = 固定資産の取得価額 × 特別償却率
特別償却は、通常、固定資産を取得した事業年度のみ適用されます。

(2)割増償却

割増償却とは、通常の普通償却費を基礎として次のように計算されます。
割増償却費 = 固定資産の普通償却費 × 割増率
割増償却は、固定資産を取得した事業年度から一定期間適用されます。

特別償却・割増償却の効果及び種類

(1)特別償却・割増償却の効果

特別償却・割増償却による償却費により、通常の償却費より特別償却・割増償却の分が多く償却費を計上できることで、利益が減少し、税金が少なくなり、減価償却資産の取得価額を費用化する期間が短くなり、固定資産の陳腐化リスクに備えることができます。

(2)特別償却・割増償却の種類

主な特別償却・割増償却の種類及び償却率・割増率をまとめると次のようになります。
  1. 特別償却

  2. 割増償却
   

中小企業者等の機械等の特別償却又は特別控除

前述の特別償却の中で、最もSOHO企業に縁があるのがこの規定です。この規定は、中小企業の育成と高度医療機器の導入促進をはかるために設けられています。具体的な規定は以下のとおりです。

(1)適用要件

この規定は、次の要件を満たす場合に適用されます。
  1. 青色申告法人である中小企業者等であること。
  2. 平成10年6月1日から平成13年5月31日までの間に1台(基)の取得価額が、230万円以上の新品の機械及び装置及び リース費用の総額が300万円以上のものなど特定機械装置を取得したこと。
  3. 租税特別措置法のこの他の圧縮記帳及び特別償却の適用を受けていないこと。
  4. 申告書に明細表と付表が付されていること。

(2)償却限度額

次の算式で計算した特別償却額をその事業年度の損金の額に算入します。
特別償却限度額=機械及び装置の取得価額×30%
※尚、取得価額の7%の特別税額控除との選択適用です。

優良賃貸住宅の割増償却

法人が新築の賃貸住宅を取得した場合や、新しく建築した建物を賃貸用に供した場合で、一定の要件に該当する時は、通常の減価償却費とは別に、割増償却費をその事業年度の所得金額の計算上、損金の額に算入することができます。

(1)適用期間

租税特別措置法による時限立法であり適用期間は、「平成7年4月1日から平成14年3月31日までの期間に取得又は新築した場合」となっています。

(2)割増償却費の計算

  1. 特定優良賃貸住宅
    普通償却費×44%(その資産の耐用年数が35年未満の場合は32%)
  2. 都心共同住宅
    普通償却費×44%(その資産の耐用年数が35年未満の場合は32%)

(3)割増償却期間

賃貸の用に供した日以後5年以内の日を含む各事業年度が割増償却期間となります。 つまり償却期間は60ヶ月となります。
(注意点)

特別償却・税額控除など

特別償却・税額控除については、適用期間が限定されているものが多いため、必ず適用期間は確認してください。

(1)特別償却・割増償却関係

  1. 特定情報通信機器の即時損金算入
    青色申告書を提出する法人が、平成11年4月1日から平成13年3月31日までに、取得価格100万円未満の特定情報通信機器を取得し、その事業に使用した場合には、その取得価額の全額を 損金算入することができます。
    ※少額減価償却資産・一括償却資産の適用を受けたものは、この規定の適用はありませんので注意してください。
    (特定情報通信機器の範囲)
    1. 電子計算機
    2. デジタル複写機
    3. ファクシミリ 
    4. デジタル構内交換設備等
    5. デジタルホン電話設備 
    6. 電子ファイリング設備
    7. マイクロファイル設備 
    8. ICカード利用設備
  2. 経営基盤強化計画に係る機械等の割増償却 青色申告書を提出する法人で中小企業経営改革新法の施行日から平成13年3月31日までの間に、特定組合等に該当する者は、その機械装置・建物及び付属設備などで一定のものについて、5年間27%の割増償却が行えます。
  3. 特定設備等(公害防止設備)の特別償却
    青色申告書を提出する法人が、特定設備等を平成11年4月1日以降に取得した場合は、以下のような特別償却が行えます。
  4. 事業革新設備等の特別償却等
    産業活力再生法の認定を受けた青色申告法人が、法律の施行日から平成13年3月31日までに一定の減価償却資産を取得した場合には、その目的により特別償却や特別税額控除が受けられます。
    1. 事業革新目的
      この場合は、特別償却の適用があります。その特別償却率は、18%となっています。
    2. 事業構造変革目的
      この場合には、特別償却の適用があります。その特別償却率は、24%となっています。
    3. 事業革新目的・事業構造改革目的で取得した法人が中小企業者である場合
      この場合は、資本金の違いにより次のように取り扱いが異なります。
      (A)資本金3000万円超の中小企業者
      この場合には、特別償却の適用があります。その特別償却率は、30%となっています。
      (B)資本金3000万円以下の中小企業者
      この場合には、特別償却と特別税額控除の選択適用があります。その特別償却率は30%、特別税額控除率は7%となっています。

    (2)税額控除関係

    1.試験研究費の額
    1. 特別控除額
      比較試験研究費の額(過去5年間の各期試験研究費額のうち多い金額から3期分の平均額)を、その年の試験研究費の額が超える場合には、その超える部分の金額の15%相当額を税額控除します。ただし、その試験研究費の額がその事業年度の前期・前々期の試験研究費の額を超える場合に限ります。この税額控除額は、法人税額の12%相当額を限度とします。なお、特別試験研究費がある場合には、その研究費の額の15%相当額を加算することとし、法人税額の14%を限度とします。
    2. 中小企業技術基盤強化
      中小企業者等の試験研究費に係る中小企業技術基盤強化税制の特例による税額控除割合は、平成13年3月31日までに開始する事業年度は、10%(平成13年4月1日以降に開始する事業年度からは6%)です。
      ※基盤技術研究開発促進税制・特別試験研究促進税制・特別試験研究会社に係る特例・事業革新円滑化法の特定事業者にかかる特例は、平成11年4月1日以降に開始する事業年度から廃止されています。
  5. その他税額控除
    試験研究費以外の税額控除・特別償却も、エネルギー需要構造等の税額控除・事業基盤強化設備の特別控除などについては、一度税務署などに確認してみてください。

特別償却の注意点

政策的見地から認められている特別償却については、他の特別償却や圧縮記帳との二重適用は、原則として認められません。これは、優遇規定の多用をなくし、政策見地をはっきりさせるためです

本書の対象となる決算月(一年決算の場合)
この「税務申告」の内容は平成13年3月〜平成14年2月が決算月となる法人を対象としています。税制に関する法令等は改正されることが多いため、必ず対象となる決算月を確認してください。
なお文書内容は平成12年9月現在の税法等に基づいて作成されています。

平成13年1月19日改定 前へ 上の階層へ 次へ


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