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ホーム考事苑確定申告確定申告で税金を取り戻そう住宅借入金(取得等)特別控除を利用する確定申告

住宅借入金(取得等)特別控除を利用する確定申告(2)

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[3]所得要件

この特別控除の適用を受けられる人は、その年の所得が3000万円以下である人に限定されます。ここで注意しておいてもらいたいのが、収入ではなく所得という点です。収入とは、入ってきた金額ですが、所得とはその収入から費用を控除した金額です。つまり、給与所得者の例で考えみると、年収○○○万円という言葉を耳にしていると思いますが、これはあくまでも収入です。これに対して給与所得とは、通常、収入(年収)から給与所得控除額を控除した金額となります。
また、この所得要件は3000万円ですが、平成7年度から9年度に建物等の取得等をしている場合は、 2000万円ですので注意してください。この所得要件の判定は、この特別控除を受けられる15年間のそれぞれの年において 判定します。

[4]特例規定との重複適用禁止(居住用財産の損失の繰越控除を除く)

この住宅借入金(取得等)特別控除の適用を受けるには、その取得等をした年・その前年・その前々年において、 居住用財産の譲渡所得の3000万円控除等の特例を受けていないことが条件となります。
また、この取得等した年の翌年または翌々年おいて、居住用財産の譲渡所得の3000万円控除等の特例を受けることはできません。 居住用財産の譲渡による損失の繰越控除の規定は重複適用をすることができます。

●手続

この住宅借入金(取得等)特別控除を受けようとする場合には、その取得等をした年の確定申告により、 必ず次のような必要書類を添付しなければなりません。
給与所得者については、初年度は必ず確定申告しなければなりませんが、2年目以降については、 年末調整でこの特別控除をうけることになります。
●初年度 新築及び中古の建物
  • 建物及び土地の登記簿謄本または抄本(法務局で発行してもらうものです)
  • 売買契約書等、取得内容がわかる書類の写し(建物等の取得時にもらっている契約書等で物件内容のわかる書類です)
  • 住民票の写し(市区町村役所で発行してもらうものです)
  • 借入金等の年末残高証明書(借入先の金融機関等で発行してもらうものです)
  • 住宅借入金(得等)特別控除の計算明細書等(税務署でもらえます)
増改築
  • 建築確認の通知書または検査証の写し・増改築等工事証明書
  • 建物及び土地の登記簿謄本または抄本(法務局で発行してもらうものです)
  • 売買契約書等、取得内容がわかる書類の写し(建物等の取得時にもらっている契約書等で物件内容のわかる書類)
  • 住民票の写し(市区町村役所で発行してもらうものです)
  • 借入金等の年末残高証明書(借入先の金融機関などで発行してもらうものです)
  • 住宅借入金(取得等)特別控除の計算明細書等(税務署でもらえます)

●2



2年目以降については、給与所得者は税務署から交付された「住宅借入金(取得等)特別控除の控除証明書」による 年末調整によりこの適用を受けます。この年末調整を受ける場合は、その年の借入金等の年末残高証明書も勤務先に その証明書とともに提出し、勤務先による年末調整を受けることになります。
通常の不動産所得・事業所得等の確定申告者については、2年目以降も「借入金等の年末残高証明書」を添付する必要があります。 また、特別控除額の計算については、計算明細書によらず確定申告書にその欄が設けられていますので、 そこに記入して適用を受けてください。

●申告書の記入例

サラリーマンが、新築住宅を購入し、住宅借入金(取得等)特別控除を受けるための申告書作成方法をみていきましょう。 ここでは、給与所得しかないことを前提としていますので、他の所得がある方は、一般用の申告書を使用してください。

●用意する書類

今年はじめてこの規定を適用する場合に必要となる書類は、次のとおりです。

●申告書の作成

この還付用の申告書の作成は、所得金額の記入・医療費控除の計算及び記入・税額の計算及び記入の3段階となります。

●適用要件

この特別控除を受けられる要件を再確認のためにまとめると次のようになります。
物件要件 築年数 新築または耐火建築物のマンション等は、その取得の日から25年(耐火建築以外は20年)以内に建築されたものであること。
床面積 家屋の床面積が50m2以上であること。
居住割合 家屋の床面積の1/2以上を、本人自ら居住のために使用していること。
居住要件 建物を取得してから6ヶ月以内に入居し、各年の12月31日までに引き続き居住していること。
借入要件 借入期間 借入金の返済期間が、10年以上の借入金であること。前にも述べましたが、勤務先からの借入の場合は、 借入利息1%以上であること。また、親族からの借入金は、対象とならないことに注意してください。
適用者要件 所得要件 平成11年の所得が3,000万円以下であること。
前年以上の特例適用 平成8年から平成10年までに買い換えの特例等を受けていないこと。
このような適用要件を満たしているものとして、給与所得者の新築住宅を取得した場合の住宅借入金(取得等) 特別控除を受けるための申告書の作成手順をみていきましょう。

[5]作成手順

(1) 適用要件の確認

まず、この住宅借入金(取得等)特別控除の規定の適用要件である上記の内容等を満たしているかを確認してください。

(2) 計算書明細の計算及び記入

計算及び申告書作成の手順を上記の要件を満たしている事例にそって、みていきましょう。
区 分 内 容
購入者 税金 戻男
購入日 平成11年6月30日
入居日 平成11年7月 9日
構造 鉄筋コンクリート12階建 10階 1013号室
床面積 87.50m2(全て居住用)
購入金額 4,800万円(消費税額150万円を含)
購入資金 自己資金 500万円  親からの贈与 300万円
金融機関借入金4,000万円(年末残高3,990万円)返済期間35年

A 新築または購入に係る住宅借入金等の年末残高

これは、金融機関等から発行される借入金残高を記入します。この場合は3,990万円となります。

B あなたの持分に係る取得対価の額

住宅を奥さんと共有持分にした場合等、自分ひとりで所有していない時に、自分の持分に対する建物の購入価額の按分が必要となります。
今回の事例では、本人の持分が100%ですから、「あなたの持分に係る取得対価の額」は、4,800万円となります。
なお、共有の場合住宅取得等特別控除は、各共有者に独立して適用できるので、ご主人だけでなく奥さん等の共有者の方もあわせて申告するようにするとよいでしょう。

C 家屋の床面積のうち居住用部分の床面積の占める割合

ここでは、建物の総床面積の内、居住用に使用している床面積の割合を判定するものです。これは、居住用割合が50%以上であるという適用要件があることによります。
今回の事例では、総床面積が87.50m2となり、その床面積が全て居住用であることから、居住用部分の床面積は87.50m2となり、割合は100%となります。

D 居住用部分の家屋に係る住宅借入金等の年末残高

ここでは、上記Aの借入金のうち居住用部分に対応する借入金残高を計算します。
今回の事例では、3,990万円×100%で3,990万円となります。

E 住宅借入金(取得等)特別控除の計算の基礎となる住宅借入金等の年末残高

ここでは、この規定の対象となる借入残高を計算しますが、5,000万円を上限とします。
今回の事例では、上記Dの3,990万円と5,000万円を比較していずれか少ない金額となりますので、3,990万円となります。
これで「住宅借入金(取得等)特別控除」の対象となる借入金残高が、確定しましたのでこの残高を用いて確定申告書を記入することになります。

(3) 申告書の作成

この還付用の申告書の作成は、所得金額の記入・住宅借入金(取得等)特別控除の計算及び記入・税額の計算及び記入の3段階となります。

A 前段階

 申告書には、まず自分の住所・氏名・生年月日・世帯主等の必要事項を記入します。提出する税務署の名前は、もう一度確認してください。また、氏名の隣に印鑑を押しますのでお忘れなく。この印鑑は、シャチハタ以外の印鑑であれば何でもよいと思います。

B 所得金額の記入

この所得金額は、「給与所得の源泉徴収票」から書き写してください。この票は、年末調整後、会社からもらえます。まだもらっていない時は会社に問い合わせてください。

C 住宅借入金(取得等)特別控除の計算及び記入

この住宅取得等特別控除の欄の記入について、今回の事例に基づいてみていきましょう。
住宅借入金等の年末残高の合計欄には、前記?のEの金額を記入します。今回の場合では、3,990万円となります。
居住開始年月日の欄は、今回の事例ですと7月9日となります。
家屋の床面積及び居住用部分の床面積の欄は、明細計算書の前記?のCより記入します。今回の事例の場合は、 家屋の床面積及び居住用部分の床面積の両方の欄は、87.50m2となります。
家屋の取得対価の額の欄には、前記?のBより記入します。今回の事例では、4,800万円となります。
最後にこの住宅借入金(取得等)特別控除の金額を記入しますが、これは、その記入欄の下にある算式により計算します。今回の事例に基づいて計算すると次のようになります。
3,990万円(明細計算書の最後に計算したこの対象となる借入金残高)に1%を乗じた金額に39.9万円が今回の住宅借入金(取得等)特別控除の額となります。

D 税額の計算

ここでは、還付される金額がいくらなのかを計算することとなります。この計算方法も、申告書に記入されている番号にしたがってください。この申告をすることにより年末調整後の所得税額と39.9万円のいずれか少ない金額がこの申告をすることにより還付されることになります。

E 後段階

税金が還付される金額が、確定し記入し終わったら、還付される口座と住所・氏名等を申告書の終わりに記入して終わりです。この時に、申告書にミシン目がありますが切り取らないことと、このミシン目に割印の印鑑を押すところがありますので注意してください。

[6]住宅借入金(取得等)特別控除の計算方法の変遷

住宅に入居した日や借入残高により、住宅借入金(取得等)特別控除は異なります。以下の表を参考にしてください。

住宅借入金特別控除

新しい適用
平成11年1月1日〜
平成12年12月31日
    最初の6年間    1%     50万円 3,000
万円
    7〜11年目    0.75%     37.5万円
    12〜15年目    0.5%     25万円
平成22年から平成25年まで
借入金残高(5,000万円を限度)×0.5%

平成13年1月19日改定 前へ 上の階層へ 次へ


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