4-1 退職所得の範囲
サラリーマンやOLの方が会社を退職する場合には、退職金等の一時金の支給を受けると思います。所得税ではこれらの所得を「退職所得」と呼びます。
この退職所得とは、退職により一時に受ける次のようなものをいいます。
- 退職することにより支払を受ける退職金・一時恩給
- 国民年金法・厚生年金などの規定に基づいて支給される一時金
- 適格退職年金契約に基づき支給される退職一時金
- 特定退職年金共済団体より退職により支給される一時金等
※ 申告上間違いやすいものとして、次のようなものがありますので注意してください。
内容 | 所得区分 |
死亡退職金で被相続人死亡後3年以内に支給したもの |
相続税法のみなし財産 |
生前退職した場合で被相続人の死亡後3年以内に支給確定したもの |
相続税法のみなし財産 |
死亡後3年を超えて支給が確定した退職手当金等 |
遺族の一時所得 |
労働基準法に基づく解雇予告手当 |
退職所得 |
4-2 退職所得金額の計算
退職所得の金額は、次の算式により計算します。
4-3 退職所得控除額
退職所得控除額とは、退職所得者の必要経費です。
ただし、この給与所得控除額は、勤続年数により次の算式に基づいて決定されるものです。
[1]退職所得控除額
下記の算式により計算した金額となります。
勤続年数 | 退職所得控除額 |
20年以内 | 40万円×勤続年数 |
20年超 | 70万円×勤続年数-600万円 |
- 2年以内の勤続年数の場合は、上記にかかわらず80万円
- 障害者になったことにより退職した場合には、上記の金額に100万円を加えた額
- 勤続年数の端数は、1年として判断してください
[2]退職所得の受給に関する申告書
「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出したかどうかで処理方法が違います。
提出した場合 |
会社が申告書に基づいて所得税を源泉徴収するため、確定申告は不要 |
提出しなかった場合 |
会社は20%で所得税を源泉徴収するため、確定申告は不要 |
※ 確定申告をする時は分離課税用申告書を使用します。
4-4 退職時の注意点
サラリーマン等の給与所得者が退職した時に、注意しなければならない点があります。
[1]住民税の納付方法
住民税の納付の方法には、「普通徴収」・「特別徴収」の2つの方法があります。
このうち、サラリーマン等の給与所得者は、通常「特別徴収」として毎月の給与等から住民税が徴収されています。
● 特別徴収制度
会社は、年末調整後の支払報告書が会社からその年の翌年1月31日までに従業員等が住む市区町村に提出することとなっています。
各市区町村では、その報告書を基に住民税額を決定し、納付書を会社に送付します。
会社は、その納付書に基づいて6月から翌年5月まで毎月住民税を徴収し、翌月10日に納付することになります。
これが特別徴収制度です。
● 普通徴収制度
普通徴収制度は、その年の住民税を翌年の6月・8月・10月・翌々年1月の末日までに納付する制度です。
[2]退職後の住民税
会社に就職している間は、特別徴収されており、知らない間に納付されていたと思いますが、
退職後は特別徴収により納付するのではなく、普通徴収により納付することになりますので注意が必要です。
ただし、会社によっては、退職時に一括して未納住民税を徴収することもありますので、確認してください。
[3]失業保険の取り扱い
失業保険の給付を受けている場合は、その給付額は非課税です。
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