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土地や有価証券を譲渡した場合(譲渡所得)

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個人が所有している土地や有価証券等を譲渡して得る所得が、「譲渡所得」といいます。

2-1 譲渡所得の範囲

個人の所有する資産を譲渡した場合が全て譲渡所得になるわけではありません。次のような資産を譲渡した場合だけが譲渡所得になります。またこの譲渡には、通常の売買だけでなく交換・財産分与・競売等も含まれます。

※ 譲渡所得の上で、家庭で生活で通常必要である家電製品等を譲渡した場合には、所得税は課税されません。 このように申告上間違えやすく注意が必要な事項は、次のとおりです。

内 容所得分離
課 税 棚卸資産・棚卸資産に準ずる資産及び少額減価償却資産の譲渡の場合事業所得
山林を譲渡した場合山林所得・事業所得
借地権や地役権を設定し、土地の時価の1/2を超える権利金を受け取った場合譲渡所得
借地権や地役権を設定し、土地の時価の1/2以下の権利金を受け取った場合不動産所得
貴金属・書画・骨董品等で1個または1組の価格が30万円を超えるものの譲渡をした場合譲渡所得
生活に通常必要な資産を譲渡した場合非課税所得
非課税 資力喪失の場合の強制換価手続きまたは同様の状況において譲渡した場合非課税所得
国等に資産を寄付したり、国に重要文化財を譲渡した場合非課税所得
譲渡代金が回収不能の場合(回収不能部分に限る)その収入金額はなかったものとみなす
特例 保証債務を履行するための譲渡で、その主たる債務者に求償権の行使ができなくなった場合(その求償権の行使ができなくなった金額部分に限る) その収入金額はなかったものとみなす

2-2 譲渡所得の金額

譲渡所得の金額は、次の算式により計算した金額となります。

2-3 課税上の分類

譲渡所得の金額に対する所得税の額の計算上、その譲渡した資産の内容により次のように分類されます。

[1]総合課税または分離課税

譲渡資産の違いにより、課税方法が2つに区分されます。
総合課税 絵画・骨董品・書画等
車両・機械等
ゴルフ会員権・一定の公社債等
動産
分離課税 土地の所有権・借地権等の土地上に存する権利
建物及び附属設備若しくは構築物
不動産

[2]長期譲渡所得または短期譲渡所得

譲渡資産の所有期間により、次の2つに区分されます。
長期譲渡所得 譲渡した資産の所有期間が5年を超えるもの
短期譲渡所得 譲渡した資産の所有期間が5年

[3]その所有期間の判定の基準日

「短期・長期」の区分の判定は、次によります。
総合課税 取得日から譲渡日までの期間で判定する
分離課税 取得日から譲渡日の属する年の1月1日までの期間で判定する
※ 取得の日にかえて契約日とすることもできます。

[4]まとめ

課税方法 譲渡資産の範囲 所得分数 所有期間の判定 特別控除額
総合課税 絵画・骨董品・書画
車両・機械等
ゴルフ会員権・
一定の公社債等
動産 短期譲渡所得 その資産の所得日から譲渡日までの期間が5年以内 50万円
長期譲渡所得 その資産の所得日から譲渡日までの期間が5年超 50万円
分離課税 土地・借地権等建物・附属設備等 不動産 短期譲渡所得 その資産の所得日からその譲渡日の属する年の1月1日までの期間が5年以内 ナシ
長期譲渡所得 その資産の所得日からその譲渡日の属する年の1月1日までの期間が5年超 100万円

2-4 譲渡所得の計算のしくみ

ここでは、譲渡所得の計算のしくみと用語の内容を見ていきます。

[1]収入金額

● 原則

譲渡所得の収入金額とは、その譲渡によりその年において収入とすべき金額です。
この収入とすべき金額とは金銭だけに限らず、経済的利益等の金銭以外の価額を含みます。

● 特例

次に該当する場合には、その理由が生じた時にその時における価額に相当する金額で、その資産の譲渡があったものとみなします。
a.法人に対する贈与または遺贈・限定承認に係わる相続または包括遺贈
b.法人に対する低額譲渡

[2]取得費

● 原則

譲渡所得の取得費は、その資産の購入代金や購入手数料等のほか、資産の設備に要した費用、資産取得後に加えた改良費(通常の修繕費は含まない)の合計です。

● 建物等の場合

建物等の取得費は上記の額から下記の償却費相当額を差し引いた額とします。
建物等が業務用に使用されていた期間 その業務から生ずる所得の金額の計算上、その各年分に必要経費に算入される償却費の累計額
建物等が業務用に使用されていない期間 その期間にその資産の耐用年数を1.5倍した耐用年数により計算した減価償却額の累積額

● 取得費の特例

上記で計算した金額がその譲渡価額の5%より少ない場合は、その譲渡価額の5%相当額をその取得費とすることができます。ただし、借家権・漁業権等の資産を除きます。

● 相続財産の特例

相続財産をその相続税申告期限後3年以内に譲渡した場合には、譲渡した資産に対応する相続税相当額を取得費に加算します。
申告上の手続き この適用を受ける時は確定申告書に「措置法39条」と記載
「譲渡所得の金額の計算に関する明細書」等の書類を添付

[3]譲渡費用

● 譲渡費用

譲渡費用とは、仲介手数料・測量費等、資産を譲渡するために支出した費用をいいます。また、次のようなものも譲渡費用に含れます。

● 譲渡費用にならないもの

修繕費・固定資産税・その他資産の維持・管理費用等

[4]譲渡所得の金額の計算

● 総合課税


● 分離課税



● 特別控除

総合課税 短期・長期でも50万円
分離課税 短期譲渡所得については、特別控除はありません
特例 長期譲渡所得については、通常100万円です
不動産を譲渡した場合で一定の 要件に該当する時の特別控除は、次のようなものがあります

内容 特別控除額
収用等により不動産を譲渡した場合 5000万円
居住用財産を譲渡した場合 3000万円
特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合 2000万円
特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合 1500万円
農地保有合理化等のために農地等を譲渡した場合 800万円

[5]置換・交換の特例

土地・建物等を置換・交換等し、譲渡代金または交換で譲渡した資産の価額が取得代金または交換で取得した資産の価額より 多い場合に、課税を繰延べる特例があります。具体的には次のようなものです。

2-5 税額の計算

[1]総合課税

2-4「[4]譲渡所得の金額の計算」で計算した譲渡所得の金額とその他の所得との金額を合計した金額(総所得金額)から、所得控除を引いた金額(課税総所得)に、税率(累進税率)を乗じて税額を計算します。

[2]分離課税

● 短期譲渡所得金額

前期2-4「[4]譲渡所得の金額の計算」の短期譲渡所得金額が、税額を計算する上で基礎となる課税譲渡所得となります。
次の算式により計算した金額の多い方が税額になります。

● 長期譲渡所得金額

前記2-4「[4]譲渡所得の金額の計算」による長期譲渡所得から100万円(特別控除)を差し引いたものが、課税長期譲渡所得金額となります。次の算式で計算した金額が税額となります。
※ 住民税は6%の税率です。

● 税額計算の特例

分離課税の土地等の税額計算は、通常では前記の3つの計算式により計算しますが、譲渡資産の内容によっては次のような特例があります。
所得金額 計算式
土地 ・建物等 優良住宅等に係わる
課税長期譲渡所得
課税長期譲渡所得金額が4000万円以下の場合
 課税長期譲渡所得金額×15%
課税長期譲渡所得金額が4000万円を超える場合
 (課税長期譲渡所得金額−4000万円)×20%+600万円
所有期間10年超の居住用財産の課税長期譲渡所得
課税長期譲渡所得金額が6000万円以下の場合
 課税長期譲渡所得金額×10%
課税長期譲渡所得金額が6000万円を超える場合
 (課税長期譲渡所得金額−6000万円)×15%+600万円
国・地方公共団体等の
譲渡及び収用による土 地等の短期譲渡所得
前記短期譲渡所得金額の計算式でaの40%を20%、bの110%を100%に変えて計算する

平成13年1月19日改定 前へ 上の階層へ 次へ


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