その年の必要経費となる売上原価は、その年中に商品等を仕入れた金額がそのままなるのではなく、次のような計算を行って求めます。
期首(年初)棚卸高 |
期首(年初)にある商品・製品等の金額 |
仕入金額 |
その年の仕入金額(製品製造原価) |
期末(年末)棚卸高 |
期末(年末)にある商品・製品等の金額 |
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4-1 棚卸しの意味及び時期
[1]意味
皆さんも、百貨店・スーパーに行かれると思いますが、「今日は棚卸しの為に休業致します」とか「今日は棚卸しのため、5時以降は休業致します」ということに出合ったことがあるかと思います。これは上記のように棚卸高が売上原価を決定する上で必要不可欠なので休業してまでも行わなければならないからです。
[2]棚卸時期
棚卸高を計算する基準日は個人の場合毎年1月1日から12月31日までが所得金額の計算期間となっているため、12月31日の棚卸高を計算します。
※ これはあくまでも12月31日の棚卸高がわかればよいものであって、必ず12月31日に行う必要はありません。
[3]棚卸の範囲
棚卸を行う範囲は、商品・製品・半製品・仕掛品・原材料・副産物・仕損品・作業くず等です。
※ 尚、売上原価には関係してきませんが、使用していない包装材料・事務用品等の消耗品も、棚卸の対象となります。
[4]棚卸高の計算方法(棚卸資産の評価)
● 必要性
棚卸資産は12月31日の在庫を調べて、仕入単価を掛けて計算します。
在庫は実際にある数量(実地棚卸数量)を調べて確定できるのですが、仕入単価については1年中同じとは限らないので、違う単価でいろいろ仕入れている場合、年末に残っている商品等がいくらで仕入れたものか分からなくなってしまう等の問題がでてきます。そこで、その棚卸資産の評価が必要となってきます。
● 評価方法
棚卸資産の評価方法には、個別法・先入先出法・後入先出法・総平均法・移動平均法・単純平均法・最終仕入原価法・売価還元法・低価法等があります。
このうち、よく使われるものは次の3つです。
※期首と年末に仕入れたもの全ての平均単価
● 評価方法の届出及び法定評価方法
棚卸資産の評価方法は、3月15日までに所轄の税務署に届け出なければいけません。届出がなかった場合は、最終仕入原価法により評価します。
● 低価法
青色申告者についてのみ、低価法を使うことが認められています。低価法は棚卸資産の取得価額とその棚卸資産をその年の12月31日に取得するために通常要する価額を比較して少ない方を棚卸金額にする方法です。
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