各所得から差し引かれる所得控除は、総所得金額、分離事業・雑所得金額、分離譲渡所得金額、株式等に係る譲渡所得等の金額、山林所得金額、退職所得金額の順序で控除します。
3-1 災害・盗難等にあった場合(雑損控除)
雑損控除は、台風・地震等の災害または盗難・横領等により生じた損失がある場合に控除するものです。
[1]雑損控除額
雑損控除として控除できる金額は、次の方法で求めます。
a、bの多い方の金額 |
a |
損失金額(保険金等で補てんされる金額を控除)−総所得金額等×10% |
b |
損失金額のうち災害関連支出金額−5万円 |
● 損失金額
損失金額は、その損失を生じた時の直前におけるその資産の価額(時価)を基礎に計算します。
● 災害関連支出金額
災害関連支出金額とは、次のようなものをいいます。
- 災害により住宅家財等の滅失・損壊・価値減少による取壊・除却のための支出
- 災害後1年以内に支出する以下のもの
土砂等の障害物除去のための支出
住宅家財等の原状回復のための支出
住宅家財等の損壊・価値の減少を防止するための支出
住宅家財等に係る被害の拡大・発生を防止するために緊急に必要な処置を講ずるための支出
[2]雑損控除が受けられる資産の範囲
雑損控除が受けられる資産は、次の全ての要件を満たす資産です。
- 住宅・家財等のように生活に通常必要な資産⇒生活に通常必要でない資産の損失は、その年とその翌年の譲渡所得より控除します。
- 本人または生計を一にする配偶者その他の親族で、その年分の総所得金額等が38万円以下の人の資産
- 事業用資産でない資産⇒事業用資産の損失は、純損失の繰越控除となります。
[3]損失を受けられる範囲
雑損控除を受けられる損失は、災害・横領・盗難の他に次のような場合も含まれます。
- 白アリの駆除費用
- 盗難されたクレジットカードによる損失
- 故意または重大な過失がなく、第三者に損害を与えた場合等に支払った損害賠償金・見舞金等
- 雪かき等の費用
[4]確定申告書
雑損控除を受ける場合には、一般用の確定申告書でかまいませんが、損失額が大きく、その年のみで控除しきれず、その年以降3年間に渡って雑損失の繰越控除を受ける場合には、「損失申告用の申告書」を使用します。
雑損控除額は、確定申告書の雑損控除の欄に記載し、「雑損控除額の計算書」等必要な書類を添付してください。
災害等により住宅家財等に被害を受けた場合、雑損控除に換えて災害減免法等により税金が免除されることもありますので、検討してみることをお勧めします。
[6]大震災税臨特法
阪神・淡路大震災に伴う大震災税臨特法の特例ついても、適用期間が限定されていますが、阪神・淡路大震災で被害を受けた方は、税務署に問い合わせてください。
3-2 医療費を支払った場合(医療費控除)
医療費控除とは、自己又は自己の親族等が医療機関に係った場合等にその費用を控除するものです。
3-3 社会保険料を支払った場合(社会保険料控除)
社会保険料控除とは、自己または自己の親族等が負担すべき社会保険料を支払った場合に、その費用を控除するものです。
[1]社会保険料控除の金額
社会保険料控除の金額は、社会保険料として実際に支払った金額または給与から控除された金額です。
[2]社会保険料の範囲
社会保険料の対象となる保険には、次のようなものがあります。
・健康保険 | ・国民健康保険 | ・雇用保険 |
・厚生年金保険 | ・国民年金 | ・船員保険 |
・農業者年金 | ・国家・地方公務員等の共済組合等掛け金など |
[3]確定申告上の注意
社会保険料として実際に支払った金額が控除の対象になります。前納した保険料がある場合には、期間按分をしますが、1年以内の前納は支払った年に控除します。
3-4 小規模企業共済等掛金控除
小規模企業共済等掛金控除とは、自己の小規模企業共済等掛金を支払った場合に、その費用を控除するものです。
[1]小規模企業共済等掛金控除の金額
小規模企業共済等掛金控除の金額は、その年に小規模企業共済等掛金として実際に支払った金額です。
[2]小規模企業共済等掛金の範囲
小規模企業共済等掛金には、次の2つがあります。
- 小規模企業共済法の第一種共済契約の掛金
- 心身障害者扶養共済制度の掛金