企業経営バーチャル資料室一件楽着
考事苑  |  掲示板  |  ダウンロード  |  よくある質問
印刷用ページ
 
ホーム考事苑法人税申告会社と税金

会社の利益と所得の計算・・・決算利益と課税所得

前へ 上の階層へ 次へ
「会社」の決算で利益が出れば、「法人税」「住民税」「事業税」が課税されることになります。
「法人税」は税務署へ、「住民税」は都道府県と市町村に対してそれぞれ申告書を提出し、納税することになっています。
また、「事業税」は都道府県に対して納税することになっているため、都道府県の「住民税」申告書の用紙に記入する欄がもうけられています。
ところで、ここでいう「会社」の利益ですが、いわゆる商法上の利益とは異なっていることに注意してください。
「法人税」は、企業会計でいう「利益」ではなく「所得金額」を基準に課税されます。
「所得金額」は企業会計の「利益」をもとに計算されます。具体的な計算方法は、このあとで説明します。
「住民税」は個人の場合と同様、会社にも存在しています。会社の場合、住民税の計算は法人税の計算と連動して行われます。
なお、「事業税」も法人税の所得金額を基に計算されるものです。

事業年度と納税地

(1)事業年度

会社は、その経営成績と財政状態を明らかにするために、一定の会計期間を設けていますが、「法人税」においても事業年度として所得の計算期間を区分しています。
事業年度は1年を超えない期間で自由に設定でき、一般的には会社の定款でこれを定めています。
一般的に、4月から翌年の3月末までの一年間を事業年度に設定している会社が多く見うけられます。

(2)納税地

会社を設立したときは、設立の日から2ヶ月以内に「法人設立届出書」を所轄税務署に提出することになっていますが、その届出書のなかに「納税地」と書く欄があります。
納税地とは、会社の本店又は主たる事務所の所在地のことで、納税地の所轄税務署に対して申告・納付等をすることになります。
また、本店を移転した場合には、異動前の所轄税務署長と異動後の所轄税務署長に対し、異動前納税地・異動後納税地・異動事由発生日等を記載した法人の異動届けを提出しなければなりません。

各事業年度の所得に対する法人税の仕組み

各事業年度の所得に対する法人税の仕組みを見ていきましょう。

(1)法人税額の計算

以下の算式により法人税額が決定されます。
法人の各事業年度の所得金額×税率=各事業年度に対する法人税額

(2)会計の利益計算

一般に企業会計では、下の式のように、1会計期間の収益(売上高等)から、それを獲得するためにかかった費用(売上原価・一般管理費等)を差し引いて利益を算出していきます。
収益−費用=利益(決算利益)

(3)法人税の利益(所得)計算

税法上の利益である、各事業年度の所得金額は、次の算式により計算します。
益金の額−損金の額=所得金額

所得金額は、先程述べたように、通常の(企業会計上の)会社の利益計算とは多少異なります。
これは、税法が会社の確定した決算を基礎に、課税の公平・諸政策等にもとづく独自調整項目による調整を行って、「所得金額」を計算する仕組みとなっているからです。
この調整項目を税法では、「別段の定め」と呼んでいます。
益金の額と損金の額は、次のように計算されます。

益金の額
益金の額=企業会計の収益+益金算入額−益金不算入額

損金の額
損金の額=企業会計の費用+損金算入額−損金不算入額

(4)会計と法人税の利益計算関係

    
※上記図の黒部分は、会計上と法人税法上との取り扱いが同じため調整する必要がない所です。
  1. 会計処理と損金経理
    法人税法の条文の中に、「当該事業年度において損金経理をしたときは、…」といった部分があります。
    この損金経理とは、決算の段階で費用に計上することをいいます。
    会社の決算が公正妥当な会計処理のもとで行われているといった事実を尊重し、それを基に「別段の定め」にある調整を行い、法人税の計算が行われていますので、損金経理が要件であるもので、損金経理をしていなければ、税務上も損金として認められません。
    例えば、減価償却費の計上や各種引当金の繰入などは、決算時に費用として損金経理を行わないと、税法上も損金として処理できなくなってしまいますので注意が必要です。
    また、各種準備金の繰入額や圧縮記帳の繰入額などは、損金経理を行わずに、利益処分で計上し、申告書上で減算していく方法も認められています。
  2. 税務調整
    これらの損金経理と利益処分による調整をあわせて、「決算調整」と呼び、また、このように確定した決算利益を基に、課税される所得金額を算出する調整を「申告調整」と呼んでいます。
    「申告調整」には、必ず調整を必要とする事項と調整すれば認められる事項があります。
    この申告調整と決算調整を合わせて「税務調整」といいます。

税率

法人税の税率は、法人の種類・規模・所得金額により変わります。普通法人(営利法人)に比較して公益法人に対する税率は、その公益目的により軽減税率となっています。
法人の種類 区分内容 所得金額 税率
普通法人及び
人格のない社団等
(一般の医療法人を含む)
資本金1億円超又は相互会社 金額 30%
資本金1億円以下又は資本金なし
(相互会社を除く)
年800万円以下の部分 22%
年800万円超の部分 30%
特定の医療法人等   金額 22%
協同組合等 通常の協同組合等(原則) 全額 22%
特定の協同組合等(例外) 年10億円超 26%
公益法人等 収益事業の所得 金額 22%
   「株式会社」「有限会社」のうち資本金1億円以下の普通法人に関しては、所得金額年800万円を基準に税率が22%から30%に跳ね上がることに注目してください。但し、30%が適用されるのは、所得金額全体ではなくて、800万円を超える部分に対してだけです。800万円以下の部分は、22%が適用されます。 尚、法人税以外の事業税・住民税・消費税の税率は、「法人住民税・法人事業税」「消費税に関する税務」を参照して下さい。
(法人税率)
image

      

本書の対象となる決算月(一年決算の場合)
この「税務申告」の内容は平成13年3月〜平成14年2月が決算月となる法人を対象としています。税制に関する法令等は改正されることが多いため、必ず対象となる決算月を確認してください。
なお文書内容は平成12年9月現在の税法等に基づいて作成されています。

平成13年1月19日改定 前へ 上の階層へ 次へ

---
---

一件楽着とは - 会社概要 - 個人情報保護ポリシー - リンクについて - 免責事項 - お問い合わせ
Copyright © 2006-2025Internet Business Service Corp. All Rights Reserved.