法人税も所得税と同様に「青色申告」をすることができます。青色申告は、適正な帳簿方式を前提としているため、いろいろな税法上の特典が設けられています。本書が対象としている株式会社や有限会社では、青色申告を前提としていると言っていいでしょう。
青色申告できる法人
所得税では「不動産所得・事業所得・山林所得」に限定していますが、法人税については業種を問わず法人の「青色申告の承認申請書」を所轄の税務署長に提出し承認を受けた場合は、青色申告をすることができます。
申請書の提出期限
青色申告の承認を受けようとする法人は、その事業年度開始の日の前日までに、「青色申告の承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。
但し、設立第1期の場合には、設立の日以後3ヶ月を経過した日と、設立第1期の事業年度終了の日とのいずれか早い日の前日までに申請書を提出することになっています。申請書を期限内に提出することができなかった場合、通常1年間青色申告をすることができないこととなりますので注意してください。
青色申告法人の帳簿書類
青色申告法人は、その資産・負債及び資本に影響を及ぼす一切の取引を複式簿記の原則に従い、整然かつ明瞭に記録し、その記録に基づいて決算を行わなければならないことになっています。
(1)帳簿書類
青色申告法人は、仕訳帳・総勘定元帳・棚卸表その他必要な書類を備えなければならないことになっています。
また、その事業年度終了の日現在において、貸借対照表及び損益計算書を作成しなければなりません。仕訳帳・総勘定元帳・棚卸表については、それぞれ次の事項を記載します。
帳簿名 |
記載内容 |
仕訳帳 |
取引の発生順に、取引の年月日・内容・勘定科目及び金額 |
総勘定元帳 |
その勘定ごとに記載の年月日・相手方勘定科目及び金額 |
棚卸表 |
その事業年度終了の日の商品・製品等の棚卸資産の種類・
品質及び型の異なるごとに数量・単価及び金額 |
(2)帳簿書類の保存
青色申告法人は、帳簿書類を7年間(棚卸資産の受払に関するもの等は5年間)保存しなければならないこととなっています。
帳簿書類名 |
具体的書類名 |
大法人 |
中小法人等 ※1 |
帳簿 |
現金出納帳・総勘定元帳等 |
7年 |
7年 |
決算関係書類 |
損益計算書・賃借対照表・棚卸表等 |
7年 |
7年 |
現預金の収支に関する書類 |
領収書・小切手控(ミミ)・預金通帳借用書等 |
7年 |
7年 |
有価証券取引に関する書類 |
有価証券受渡計算書・社債申込書等 |
7年 |
7年 |
棚卸資産の引渡以外に作成 された書類 ※2 |
請求書・注文請書・契約書・見積書・仕入伝票 |
7年 |
5年 |
棚卸資産の引渡の書類 |
納品書・送り状・貨物受領書・出入庫報告書・検収書等 |
5年 |
5年 |
※1 中小法人等とは、資本金若しくは出資金額が1億円以下・資本金若しくは出資金額を有しない法人をいいます。大法人は、中小法人等以外の法人です。
※2 領収書・見積書等のように棚卸資産の引渡・受入に作成された書類以外のもので海外の関係会社とのものは、5年ではなく6年間の保存となります。
本書の対象となる決算月(一年決算の場合)
この「税務申告」の内容は平成13年3月〜平成14年2月が決算月となる法人を対象としています。税制に関する法令等は改正されることが多いため、必ず対象となる決算月を確認してください。
なお文書内容は平成12年9月現在の税法等に基づいて作成されています。