残存価額
減価償却資産は、耐用年数経過後においても、その資産の価値が存在するものです。その資産価値は、廃棄するときの処分見込価額に相当します。これを減価償却資産の「残存価額」といいます。その残存価額は、減価償却資産に応じて定められた割合を、その取得価額に乗じることで求められます。
残存価額 = 減価償却資産の取得価額 × 残存割合
残存割合は右の表のとおりです。
つまり、通常の有形減価償却資産は10%・無形減価償却資産は0%と覚えておいてください。
種類 |
残存割合 |
有形減価償却資産 |
10/100 |
無形減価償却資産及び鉱業権等 |
0 |
償却可能限度額
減価償却資産を耐用年数経過後も引き続き事業に使用している場合には、その価値は減少することに着目して、償却可能な限度額を設けております。その限度額のことを「償却可能限度額」といいます。
つまり、有形減価償却資産のみ残存価額と償却可能限度額が異なり、有形減価償却資産は、95%まで償却できることになります。
種類 |
償却可能限度額 |
有形減価償却資産 |
取得価額×95% |
無形減価償却資産等 |
取得価額 |
※鉄筋コンクリート造り等の建物について税務署長の認定を受けた場合には、1円に達するまで償却が認められるときがあります。
耐用年数
耐用年数とは、その減価償却資産の使用可能期間をいいます。
(1)原則
減価償却資産の種類・構造・細目ごとに耐用年数が細かく規定されています。 耐用年数に対応する償却率を用いて減価償却費を計算します。
(2)特例
規定されていない資産の場合には、所轄税務署長に「耐用年数の確認に関する届出書」を提出することにより、似の耐用年数を使用することができます。
(3)中古資産の場合
中古資産を取得した場合には、次の区分によって耐用年数を算出することとなっています。
(1)使用可能期間の見積が可能な場合
取得する中古資産の使用可能期間の見積年数をもって、その資産の耐用年数とすることができます。
(2)使用可能期間の見積が困難な場合
次の内容区分によりそれぞれ計算した年数をその資産の耐用年数とします。
- 法定耐用年数の全部を経過した場合
耐用年数 = 法定耐用年数 × 20%
- 法定耐用年数の一部を経過した場合
耐用年数 = 法定耐用年数 ― (経過年数×80%)
※上記で計算した年数が2年未満の場合は2年とし、1年未満の端数は切り捨てる。
- この規定が適用できない場合
中古資産を取得し、その資産に改良等の多額の費用を要した場合で、その費用の額がその中古資産の再取得価額50%相当額を超える時には上記1.2.の方法は適用できません。このような場合には、実際の使用可能期間を見積もる等の方法をとらなければなりません。
償却の特例
新技術の発明による資産の陳腐化等の理由により、資産の使用期間が短縮される場合には、耐用年数の短縮が認められています。このことを「耐用年数の短縮」といいます。
この規定の適用をうけるためには、所轄国税局長に「耐用年数の短縮の承認申請書」を提出し承認を受けなければなりません。耐用年数の短縮が認められるのは、次のような理由によって使用可能期間が法定耐用年数に比較しておおむね10%以上短くなったときです。
- その資産の材質または製作方法が、同じ種類で同じ構造をもつ他の減価償却資産の通常の材質・制作方法と著しく異なっている
- その資産の存する地盤の隆起または沈下
- その資産が陳腐化した
- その資産が使用される場所の状況に基因して著しく腐食した
- その資産が通常の修理又は手入れをしなかったことに基因して著しく損耗した
- その他これらに準じる事由
耐用年数に対応する償却率を用いて減価償却費を計算します。
本書の対象となる決算月(一年決算の場合)
この「税務申告」の内容は平成13年3月〜平成14年2月が決算月となる法人を対象としています。税制に関する法令等は改正されることが多いため、必ず対象となる決算月を確認してください。
なお文書内容は平成12年9月現在の税法等に基づいて作成されています。
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