8-1 租税公課
租税公課とは、あまり聞かない言葉だと思いますが、税金や公に課せられる費用のことです。この租税公課は、次の2つに分けられます。
租税 |
事業税・固定資産税・印紙税等の税金です。 |
公課 |
公に課せられる費用です。商工会議所・同業者組合・商店などの会費・組合費・割課金等があります。 |
[1]必要経費となる税金の範囲
税金であればすべて租税公課として費用になるのではなく、次のように費用になるものとならないものがあります。
必要経費になるもの |
必要経費にならないもの |
・事業税 |
・不動産取得税 |
・所得税 |
・地方税の延滞金 |
・固定資産税 |
・登録免許税 |
・相続税 |
・加算金 |
・地価税 |
・印紙税 |
・住民税 |
・罰金 |
・自動車 |
・固定資産税 |
・国税の延滞税 |
・科料 |
・税込処理している場合の一般消費税 |
・加算税 |
・過料等 |
・利子税等 |
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[2]必要経費とされる利子税
利子税とは、3月15日までに納付しなければならない税金を延納することにより課税される利息的な税金です。
利子税は、以下の算式で求めたものを必要経費とすることができます。
※ ここでいう不動産所得は事業から生じるもので、事業的規模のもののみに限定されることに注意してください。
[3]申告上の注意点
● 家事上の租税公課
必要経費になる租税公課でも、事業に関係のない住宅に係わる部分等、家事上のものは必要経費にはなりません。
● 未払費用の計上
必この年度に係るもので税金を納める期限が翌年になっているものに、「未払費用」勘定等を使用した場合には必要経費に算入します。
この処理をしなかった場合は、支出した年の必要経費となります。
● 繰延資産
租税公課となるもののうち、商店街・組合等の負担金でも共同的施設の負担金(例えば、アーケードやすずらん灯等)として繰延資産となるものがあります。この場合は繰延資産の償却費を必要経費に計上します。
詳しくは「6-4 繰延資産の償却」を参照してください。
● 事業主貸
必要経費にならない租税公課を支出した時は、その金額を「事業主貸」勘定で処理します。
[4]青色申告特別控除
事業所得又は不動産所得を生ずべき事業を営む青色申告者で一定の要件を満たす場合55万円(簡易方式の場合 45万円)は青色申告の特別控除を受けることが出来ます。
それ以外の場合は、10万円となります。
8-2 貸倒金及び保証債務の履行による損失
[1]貸倒金
事業を行っている上で、得意先・貸付先等の倒産・破産等により、売掛金・未収入金・受取手形・貸付金・
前渡金等の事業上生じた債権が回収できない場合は、所得の金額の計算上、必要経費となります。
※ 貸倒金として必要経費にできるものは、例えば会社更生計画の許可の決定、特別清算の決定等により
切り捨てられた金額といったように、所得税法で明記されています。
[2]保証債務の履行による損失
事業上保証した債務を履行した場合で、債務者に対してその債権を求める権利(求償権)を行使することができなかった場合、そのできなくなった金額は必要経費となります。
[3]処理方法
上記、貸倒金から保証債務の履行による損失等は、「貸倒金」として処理します。
8-3 事業用固定資産の損失
[1]必要経費算入
建物・機械・器具備品等の事業用固定資産や商店街のアーケード・すずらん灯等の繰延資産の施設を取り壊したり、災害等により滅失した場合には、その損失額は必要経費となります。
必要経費となる金額は次のとおりです。
※ 未消却残高は前年の期末残高から取壊日までの償却分を差し引いた金額
[2]申告上の注意点
以下のものは事業用固定資産の損失にはなりません。
内容 | 取り扱い |
土地を利用するために建物付土地を購入し、建物を 取り壊した時の損失額及び付随費用等。 |
土地の取得価額 |
土地を譲渡するために土地の上の建物を取り壊した 時の損失額及び付随費用等。 |
譲渡所得の譲渡費用 |